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2023年の BtoB営業・セールスはどうなる?

openpage代表の藤島です。カスタマーサクセスで2023年の予測を書いたのですが、セールス版も書くことにしました。主に米国で流行っているセールスの考え方や潮流を私なりに解釈して、2023年のセールスがどのように変わっていくか解説する記事になります。フィールドセールス、インサイドセールス、営業企画などの法人営業に関わる方が読者の想定です。

BtoB営業・セールスはどうなる?①購買体験のパーソナライズができる営業組織へ

BtoB営業における購買体験のパーソナライズ化

米国の情報に触れていて感じるのは、購買体験、バイヤーエクスペリエンス、パーソナライズといった言葉が目立っていることです。
セールスの受け手側、つまり顧客の立場にたったことを考えると、製品の機能をただ読み上げるだけではなく、相手の企業や担当個人の状況を理解したうえでソリューション提案をするべきだという発信をよく目にします。

もちろん、従来このような営業スタイルを実施してきた営業マンは既にいるでしょう。ただ、米国で流行っているのはこれを組織的に再現性をもって実施できる営業プロセスの設計や営業の育成・コーチング、データ環境の整備など、個人のマインドというよりは営業組織全体の営みです。

組織的に法人営業のパーソナライズ提案を実施するためには、営業の細かいプロセスやジャーニーを洗い出して、このフェーズであれば顧客のこの情報を知って、SFA/CRMに入力更新し、このようにパーソナライズされた提案をする、までがルール化されている必要があります。日本ではキーエンスも、提案シートを整備してこれに近いことをやっているのですが、受注率を高める観点で提案のパーソナライズはまだまだトレンドになりそうです。

BtoB営業・セールスはどうなる?②バリューベースセリング(カスタマーサクセス営業)が当たり前に

バリューセリング≒カスタマーサクセス営業

米国ではバリューセリング、バリューベースセリングといった営業スタイルが人気になり出しています。これは顧客のビジネス価値を重点に置いた営業スタイル、日本流に言うならカスタマーサクセス営業と言えます。

これに対比されるのがプロダクトセリングで、これは製品機能だけを並べる営業です。バリューセリングは、これにもう一歩踏み込んで、顧客のビジネスに◯◯の価値を与えますよと強調したソリューション営業の要素が強まります。

このバリューセリングが求められる背景の一つとして予想されるのは、不況化において顧客の財布の紐が厳しくなり、ROIの証明が BtoBセールスにおいて強く必要とされているからだと思います。
ストレートに言えば、製品単価に関してなんぼ儲かる?どんな価値ある?確実に効果出せる?といった話(顧客のカスタマーサクセスに明確に繋がる根拠はあるのか?)を語らないと、法人顧客には売りにくい世の中になってきています。

BtoB営業・セールスはどうなる?③トレーニングのデジタル化(セールスイネーブルメント)が拡大

セールスイネーブルメント≒営業育成のデジタル化

米国では日本以上にSFAの導入時期は早いので、いまのテーマとしてSFAを整備したその次にどうするかが議論されている印象です。
その代表格がセールスイネーブルメントです。前提として、 SFAによりセールスプロセスごとの数値計測が可能になりました。セールスイネーブルメントは、一言で言えばセールス育成研修のデジタル化で、営業の育成によりセールスプロセスの指標が伸びるのか?をデジタルに測る取り組みです。

営業の研修自体は昔からあったものです。そして昨今のクラウド化により、研修の受講状況が営業担当ごとに分かるようになりました。この研修受講のデータのSFAのデータとを突き合わせれば、研修の効果がわかるのでは?というテーマに向き合うのがセールスイネーブルメントです。

また、営業向けの研修の設計と運用だけではなく、セールスプロセスごとに活用できるドキュメントの整備もセールスイネーブルメントに含まれています。
前述したバリューセリングを体系だって行うためには、営業企画としても、各営業マンで秘伝のタレで営業させるのではなく、提案内容の統一化を試みたいはずです。すでに日本企業でも提案の型化とSFA整備、加えて研修のデジタル化を進め、営業の教育効果を計測する企業が出始めており、今後もこのトレンドは続きそうです。

BtoB営業・セールスはどうなる?④セールステックのAI活用による「セールスオートメーション(営業の自動化)」

セールスオートメーション(営業活動のAI化、自動化)

セールスにおけるコア業務に集中できるよう、営業活動のうち、自動化やAI化できるものは出来るだけしていこうという流れも米国では進んでいます。直近の不況下で営業人員のリストラも進行している影響も大きいでしょう。

営業のAI化や自動化は、営業業務としては、日程調整、顧客へのアラート、リスト作成、提案先の特定などで活用されています。見積もり作成や提案書、契約書の作成、またそもそもの提案内容までAI化する会社も出始めています。

そもそも、日本企業全体というマクロ環境を見た場合に、現在の成長率を維持するには生産性を2.5倍改善する必要があるというマッキンゼーのレポートが出ています。(The future of work in Japan
中長期で考えたときに、営業活動が自動化されていかなければ、働き手となる労働人口が減る、つまり企業として総業務量が減ってしまうからです。

The future of work in Japanマッキンゼーレポート①
The future of work in Japanマッキンゼーレポート②

日本企業では米国企業のように派手なリストラは出来ませんので自動化に遅れを取るのは間違いありませんが、SFAが米国から数年遅れで普及したように、セールスの自動化やAI化も遅れて普及し始めるでしょう。また、普及しなければ人口構造的に企業が成長できないと予想します。

BtoB営業・セールスはどうなる?⑤ライトな商談は動画で十分、重要な商談のみ対面になる

ライトな商談は「ながら見」されるので動画で構わない

営業における動画活用も2023年のトレンドテーマです。すでに BtoBマーケティングの世界では、ウェビナーがリアルタイムなのか収録を流すものなのか、視聴者側からすればどちらでも良くなってきています。そしてこの流れはセールスにおいても同様に起こり始めています。

例えば、一部の先進的なセールス担当は、製品紹介を直接話さなくても、オンラインでビデオを見せればいいと捉えて、商談前後に動画を送付するという動きをし始めています。
最初の会社紹介など、誰に対しても同じ説明になるのであれば、人がやる必要は極論ありません。

そして、リモートワークが普及した昨今で行われるオンライン営業では、人が直接説明をしていても、同じことをただただ説明しているのであれば、機械が話しているように感じます。

そして、TVCMを早送りしたい、CM時にはスマホを眺める、といったことに近い心理で、商談60分のうち、全然関係ない業務を裏でしている「ながら見商談」になり始めています。

であれば、「動画を送って、見たいタイミングで見てもらう」ほうが、見たい部分だけ顧客がさっと飛ばし見、早送り見できるので、営業を受ける側もかえって嬉しかったりします。

そして、前述したバリューベースセールス(カスタマーサクセス営業)のような、自社の状況に即したコンサルティング要素のある、聞いて役に立つ話や、それにもとづくクロージング営業のタイミング、という、1to1のパーソナライズ提案でない限りは、”顧客は対面で顔を出さなくなってくる”と考えたほうがいいでしょう。

会う営業は「個別提案」のみで、同じような説明なら人でも動画でもどちらでもかまわない。むしろ「動画で送ったほうが顧客にとっては好きなときに見れるので便利」、という新しい価値観が徐々に形成されていくと思われます。

BtoB営業・セールスはどうなる?⑥既存顧客営業(カスタマーセールス)が鍵に

既存顧客営業(カスタマーセールス)でNDR/NRRを高める

特にSaaS企業では、既存顧客セールス(カスタマーセールス)の営業トレンドが強まってきています。
既存顧客に対するクロスセルアップセルは聞き慣れたワードですが、従来言われているものより積極的な戦略的なセールスとして進化し始めています。クロスセルアップセルver2といってもいいでしょう。
というのも、SaaS企業は顧客単価を高めるために、戦略的に事業ポートフォリオを拡張させ、クロスセルアップセルを事業戦略の主体にし始めています。IRの指標にも継続売上の拡大を示すNDR/NRRを掲載する企業も増え始めました。
また、このクロスセルアップセルができるよう戦略的に事業を拡張するSaaS企業の戦略は、米国ではコンパウンドスタートアップ戦略とも呼ばれています。

この戦略の普及によって、特にSaaSの世界では、既存顧客にセールス活動を集中する営業担当が増えるでしょう。また営業経験があるカスタマーサクセス担当がポストセールスをする動きも盛んになると思われます。

BtoB営業・セールスはどうなる?⑦パーソナルブランディング(オンライン上のプレゼンス)が重要な時代へ

パーソナルブランディングで信用を高める

2022年最も大きな変化は新型コロナウィルスによる営業活動のオンライン対応です。しかし、このオンライン営業が加速することで、相手を身なりで判断したり、雑談をすることの難易度が上がりました。
顧客との関係が浅いと、信用が深まらず、自社の取り組みについて本音を言ってもらえなくなります。そしてその結果として、顧客の声が建前になることにより、営業提案も浅くなってしまうのです。

そのため、2023年米国でも日本でもトレンドになりつつあるのは、WEB上で営業が積極的に自己開示して、顧客との距離を縮める動きです。これはつまり、SNS(TwitterやLinkedin)やnote、発信採用ページのプロフィール(Wantedly、youtrustなど)をアクティブにするということです。また単にプロフィールを詳細に書くだけではなく、テキストや動画で専門情報やノウハウを発信するパーソナルブランディングが潮流になりつつあります。私自身もYouTubeやTwitter発信で人となりを理解してもらいやすくなりました。セールス業界ではセレブリックスの今井晶也さんやウィルゲートの吉岡 諒さんが積極的で、お二人ともSNSやYouTubeでの発信もされています。
「この◯◯の分野を相談していい専門家なんだ」ということをセールス活動として発信することは2023年以降も有効な取り組みになるでしょう。

BtoB営業・セールスはどうなる?⑧ソーシャルセリング、ハイブリッドセールスのスタイルを使い分ける

チャネルを使い分けるハイブリッドセールス

パーソナルブランディングに関連したテーマですが、SNSを活用したセールスも2023年米国でトレンドになるテーマです。ソーシャルメディア上のメッセージ機能を活用して営業するというスタイルで、SNSのプラットフォーマーによって規制の可能性もありますが、一定有効な施策の一つです。

また、この話はソーシャルメディアを使ってセールスしようという内容に閉じておらず、チャネル横断型のセールススタイルを取る「ハイブリッドセールス」という話題にも昇華されてきています。
というのも、ミレニアル世代の登場から、SNSのメッセンジャーのやり取りだけで済ませたいという対面を好まない顧客も増えてきています。当然ながら電話や対面を好む顧客もいるのですが、ソーシャルメディアやチャットのみでのやり取りを好む人も増えてきております。これは中長期的に考えれば、架電における不通率向上になり、結果的に受注金額が下がっていく可能性があります。
実は私も、携帯電話への電話をいっさい手に取らず、メールかメッセンジャーでほぼやり取りを完結するスタイルを取っており、営業の立場に立った時に、私に電話で営業をするということはほぼ100%不可になっています。
ですので、相手に合わせたチャネルでセールス活動を行うことが私個人の体験としても求められていることが実感としてあります。そしてWEBベースの営業活動になることで、前述したパーソナルブランディングを行っている専門性の高い担当者のほうが反応されやすいという話に繋がります。

BtoB営業・セールスはどうなる?⑨階層平坦化(営業マネージャー減少)

営業の階層が不要になる?

これは私も「そうなんだ…。」と思ったのですが、米国で話されてる話題として、業務のリモートワーク化によって、階層を平坦化させてもいい(ストレートに言えば営業マネージャーをクビにしよう)と考える企業が増えているというテーマです。

なぜなら、リモートワークによりセールステック活用が増え、営業活動もデジタルで数値管理がなされているので、マネジメント効率が高まり、マネージャーの絶対人数が少なくなっていくのです。
業績の観点でも、直接顧客と対面する営業(つまり非マネージャーの営業プレイヤー)が増えたほうが商談数が伸び、営業売上が高くなるという話もあります。

この話題が出るのは、不況における人員リストラに大きく関連します。直近でわかりやすいのは「Twitterのリストラ話」ですが、米国の有名なテック企業であっても、不況の煽りから従業員のリストラが進んでいます。
不況下においては営業現場に出ない中間管理職はリストラ対象になり得ます。
コロナによるリモートワーク化&これに伴うセールス活動のデジタル化、加えて大型のリストラが進行している不況化。その結果として、営業のマネージャーが減り、営業プレイヤーが増えるということも2023年のトレンドです。
またカスタマーサクセス、マーケター、プロダクトマネージャー 、カスタマーサポートといった他職種の営業職異動も起こり得るでしょう。

【募集】SaaS事業をグロースさせるためのカジュアル面談を募集しています

私が経営するSaaSベンチャー企業openpageにて、事業開発を進めるにあたってのカジュアル面談を行っています。また採用としては営業/マーケ/CS/エンジニアなど全職種を積極採用中です。弊社自身も自社のSaaS成長戦略を日々考えており、ぜひディスカッション出来ると嬉しいです。

参考記事

https://www.mckinsey.com/jp/~/media/McKinsey/Locations/Asia/Japan/Our%20Insights/Future%20of%20work%20in%20Japan/Future%20of%20work%20in%20Japan_v3_jp.pdf


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